Virtual Circuits(VC)
VCは、ネットワーク内のポイント間のパスを定義するOSIレイヤー3識別名です。 それは、固定された物理パスのように見える2点間のパスですが、実際には配置可能な多くの可能な物理パスのうちの1つのパスです。 このパスは、トラフィック使用を満たすために必要に応じて割り当てられた、データ・リンク・レイヤー(OSIレイヤー2)接続の管理プールから設定されます。
VCは、2つのアプリケーション間のポイント・ツー・ポイント接続ベースの通信リンクを提供します。 すべてのVCには、アプリケーションがVCからのリード/ライトに使用するよく知られたアドレスである2つのVCエンド・ポイント(VCE)があります。 これらのエンド・ポイントを介して、アプリケーションは7221ネットワークを介してデータをリード/ライトできます。
VCの両端にあるアプリケーションがそれぞれのVCエンド・ポイントを開いた場合にのみ、アプリケーション間の通信が可能になります。 通常のデータ・トラフィック用のVCは、下図に示すように、別々のLRUでVCエンド・ポイントを接続します。 ただし、各LRUには、設定と管理のために管理アプリケーションをオンボード・ターミナル・マネージャに接続する特別なVCもあります。 管理サービスを必要とするアプリケーションは、Edgewater Management APIを介して通信します。
アプリケーション間のVCパイプ
トランスポート・レイヤーにおけるVCE
トランスポート・レイヤーでは、アプリケーションはXi APIを使用して、 メッセージ・ベース・プロトコル(MBP)を使用して最大64 KB(65,536 Byte)のメッセージを確実に転送することができます。 このレイヤーでは、アプリケーションは、ネットワーク・レイヤーで静的に事前定義されたエンドツーエンド接続、または、 バーチャル・サーキット(VC)を介して互いにメッセージを転送します。 アプリケーションは、VCのエンドに書き込むか、または、そのエンドから読み取ってメッセージを転送します。 動的接続確立の必要性はありません(またサポートもしていません)。 VCの各エンド・ポイント(VCE:バーチャル・サーキット・エンドポイント)は、そのVCE番号で識別されます。 これを下図に示します。各VCは、単方向、双方向、または、ブロードキャスト(図示されていません)のチャンネルとして定義することができます。
トランスポート・レイヤーにおけるVCE
特定のVCを使用するには、アプリケーションはXi_Open Data API関数を呼び出して、 そのVCのエンドに対応するあらかじめ定義されたVCE番号を渡してチャンネルを開きます。上図において
- RT 58の『Application B』は、RT 17の『Application C』にメッセージを送信するために、単方向VCE 3057を書込み専用モードで開きます。
- RT 17の『Application C』は、RT 58で『Application B』から送信されたメッセージを受信するために、単方向VCE 15を読取り専用モードで開きます。
データ・リンク・レイヤーにおけるVCE
データ・リンク・レイヤーはネットワーク・エンティティ間でデータを転送し、物理レイヤーで発生する可能性のあるエラーを検出し、 場合によってはこれを訂正する機能的、および、手順的手段を提供します。 接続性は、ローカルに接続されたネットワーク・ノード、同じSTANAG 7221上のネットワーク・ノード間でのみ提供されています。
データ・リンク・レイヤーでは、BCの概念、および、コンフィグレーション・データ内のバス・スケジュールが有効になります。 データ・リンク・レイヤーは次の役割を担います:
- 複数のVC(ネットワーク・レベル)からの複数のデータ・ストリームを共通チャンネルに多重化し、 共通チャンネルからのデータを個々のストリームに逆多重化します(この様子を下図に示します)
- パケットを送信フレームに分割してリアセンブリし、ブロック、デブロックした後、パケットに戻します
- 物理的なアドレス指定、および、物理媒体を介するデータの伝送
- 1対のターミナル間の1方向リンク品質を管理
- エラー・チェックと回復
各STANAG 7221デバイスには、ローカル・ネットワーク・セグメント上で一意のRTアドレスがあります。 これは、データ・パケットの宛先ノードに使用される物理アドレスであり、 他のネットワーク・プロトコルのメディア・アクセス制御(MAC)または、従来の1553BのRT番号に似ています。 STANAG 7221デバイスに割り当てられたRTアドレスは、同じ共有物理メディアで使用される従来の1553B RTアドレスとは無関係です。 搭載機器(LRU)に、同じ物理ワイヤを共有する従来のMIL-STD-1553BインターフェイスとSTANAG 7221インターフェイスの両方がある場合、 割り当てられたアドレスは同じでも構いません。
有効なRTアドレスは、ソフトウェア、または、ハードワイヤード・コンフィグレーションで割り当てることができ、1~61の範囲です。 BCの追加の役割が割り当てられたRTには、自動的に7221デバイスによってゼロのRTアドレスが与えられます。 RTアドレス62は予約され、RTアドレス63はブロードキャスト・メッセージに使用されます。
データ・リンク・レイヤーでは、接続はRT間の1方向のリンクとして定義されます。 下図はネットワーク・レイヤーにおける接続のサブセットがターミナル対間の1方向のデータ・リンクによってどのようにサポートされるかを示しています。 データが一方のターミナルから(例えば、下図のターミナル58のVCE 25と3057)から出て第二のターミナル(例えばターミナル17のVCE 15と17)に入るすべてのVCは、 同じデータ・リンク上で多重化されます。 同じ対のターミナル間の反対方向のデータ・フローが、ターミナル対間の第2のデータ・リンク (例えばターミナル17のVCE 17からターミナル58上のVCE 25へ流れるデータ)上で多重化されます。 この例では、ターミナル58のVCE 3057とターミナル17のVCE 15間のVCは1方向と定義されているので、 ターミナル17~ターミナル58のデータ・リンクに多重化されたVCのデータは存在しません。
リンク・レイヤ―のVCE
STANAG 7221では、データ・リンク・レイヤーは、MACレイヤーとパケット適応レイヤー(PAL)の2つのサブ・レイヤーに細分化されています。 PALは、ネットワーク・パケットのサイズと非常に可変サイズのMACフレームとの間の適合を処理します。 データ・リンク・レイヤー・フレームの可変性は、物理的なレイヤーが電気的ノイズなどの様々な条件に適用することに起因します。
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