トレーニング
トレーニングは7221動作の重要な機能です。 トレーニング要件の大部分はターミナル自体によって処理され、アプリケーションに組込む必要はありません。 ただし、システム・インテグレータは、有効性を最適化し、トレーニングのオーバーヘッドを最小限に抑えるために、 概念について最低限理解しておく必要があります。
「トレーニング」では、2つのターミナル間のチャンネル特性を観測して学習することで、 将来の伝送が利用可能な容量を最大限に活用できるようになります。バス障害は通常、4つのカテゴリに分類されます。
- 一時的
- 定期的
- 持続的
- 予測可能だが断続的
一時的ノイズは予測不可能であり、トレーニングを通して処理するのが難しいため、他の方法で処理する必要があります。 周期的、持続的、予測可能なノイズは学習できるため、これがトレーニングの対象となります。
7221トレーニングは、BCから指示されたときに事前定義パターンを送信するターミナルで構成されています。 これはトレーニング・フレームと呼ばれます。 指定されたターミナルはトレーニング・フレームをブロードキャスト・メッセージとして送信するので、 バス上のすべてのターミナルは同時にトレーニング・フレームを受信できます。 受信ターミナルは、受信したトレーニング・フレームを予測されたトレーニング・フレームと比較して、 各7221トーンの障害と有効信号を計算します。 この計算はトーンマップを作成するために使用されます。 トーンマップは、あるRTから別のRTへ送信がどのように符号化されるかを決定するために作成され、 将来のメッセージ転送で使用されます。BCによって命令されると、宛先ターミナルは、 ターミナルで計算したトーンマップをソース・ターミナルに送信します。 BCはまた、PHYリンク・レートを監視するために要求されたトーンマップをキャプチャします。 トレーニング・シーケンスを下図に示します。
トレーニング・シーケンス図
アプリケーションは、トレーニングやトーンマップの計算には関与しません。 ただし、バス・スケジュールは、トレーニング・フレームとトーンマップの交換をサポートするように設定する必要があります。 スケジュール設定を通じて、トレーニング・レート、トーンマップ・レート、および、バスを指定する必要があります。
トレーニング・フレーム/トーンマップ・レートを計画するときに考慮する必要があるいくつかの要因があります。 トレーニングはトレーニング・フレームがソース・ターミナルによってブロードキャストされるときにのみ行われるので、 断続的または、まれなノイズ・イベントは容易に見逃される可能性があります。 したがって、トレーニング中に支配的なノイズ・イベントが確実に発生するように、トレーニング頻度を十分に高く設定する必要があります。 トレードオフとして、トレーニングによって使用されるオーバーヘッドが増加します。
トレーニングが多いほど、トーンマップは良くなりますが、実際のデータ転送に使用できる時間も短くなります。 レートはシステムに依存しますが、Edgewaterのディフォルトは通常3 Hzです。 利用可能な別のパラメータは、トレーニング・フレームの長さです。 トレーニング・フレームの長さをディフォルト値から短くすると、データに使用できる時間は長くなりますが、断続的、または、まれに発生するノイズ・イベントをキャプチャする可能性は低くなります。
重要な考慮点は、トレーニング・フレームとトーンマップを一対一で送信/交換する必要が無いことです。 オーバーヘッドを減らして有効性を改善する方法は、トーンマップよりもトレーニング・フレームにはるかに高いレートを使用することです。 トーンマップは、時間をかけて多くのトレーニング・フレームを組み合わせることによって作成されます。 断続的なノイズがあるチャンネルはこの恩恵を受けることができます。
急速に変化する可能性があるチャンネルは、バスがあらゆる変化に素早く適応するように、より高いトーンマップ・レートで設定する必要があります。
バス・スケジュールの作成では、スロットはトレーニング・フレームとトーンマップ・メッセージに割り当てられます。 これにより、システム・インテグレータがトレーニングの発生時期を認識し、 スケジュールされたメッセージがトレーニングやトーンマップによって横取りされることが無くなるため、 スケジュールが確定的になります。 スロットは、特定のリンクに設定されていないという点を除いては他のフレームと同じです。 スケジュール内の別の設定として、インテグレータはトレーニング・フレームとトーンマップの頻度とスロットを設定します。 BCはターミナルにトレーニング・フレームの送信とトーンマップの交換を命令するタイミングを決定するために必要な周波数とスロット時間を使用します。
デュアル・バス(A、B)システムでは、選択されたバスはリンク・ベースで決定されます。 「選択された」バスはプライマリ・バスで、もう一方のバスは「代替バス」です。 トーンマップ交換設定を設定する際に、インテグレータはプライマリ・バスと代替バスのトーンマップ間の比率を定義できます。 比率を設定する際にインテグレータはオーバーヘッドを減らす必要性とのバランスをとる必要があります。 プライマリ・トーンマップと代替トーンマップの比率が50%の場合、最も早い遷移が得られますが、プライマリ更新レートが維持されている場合は、オーバーヘッドも増加します。
トレーニングのオーバーヘッドを減らす方法は、デュアル・バスのトレーニング・フレームを使用することです。 これは、トレーニング・フレームをブロードキャストしているターミナルがそれを両方のBus A/Bで同時に送信することです。 受信ターミナルは、特定のトレーニング・フレームについてそれらのプライマリ・バス、または、代替バスのいずれかを監視するように設定されます。 これにより効率が向上しますが、2つのバス間に大きな絶縁がある場合にのみ使用できます。 クロストークがある場合、トレーニング中に観測されたチャンネルはデータ送信に使用されたチャンネルとは異なる特性となります。 これにより、データ・フレーム中のレートが低下したり、ノイズ・マージンが低下したりする可能性があります。