航空・宇宙関連の電子機器で使用される特殊なデータバス、スタンダード(標準)について紹介します。

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ARINC 429

概要

ARINC 429は、商業機、および輸送機で最も一般的に使用されているデータ・バスです。 ここでは、ARINC社の起源、データ・バスの特性、ARINC 429がどこで使用されているかを説明します。 そして、仕様で定義される主要な電気的、およびデータ特性をまとめたものです。

この解説は、ARINC 429の完全な説明ではありません。 簡潔なチュートリアルとしてのみ意図されており、ARINCから購入できる完全な仕様(コンタクト情報については、別紙A、「参考文書」を参照。)に置き換わるものではありません。

ARINC 429は、バイポーラRZフォーマットを使用する2線ツイスト・ペア上で32ビット・ワードの単方向送信を使用します。 各ワードにおける5つのフィールドを説明し、ラベルの使用について説明します。 メッセージは、メッセージのグループ、またはフレームを送信する一般的なアプリケーションで指定された間隔で繰り返されます。 例として、BNR、BCD、ディスクリート・データのような一般的に使用されるワード・フォーマット、およびその他のフォーマットで与えられます。 また、データのファイルを送信する改善された方法を提供するために導入され、時々Williamsburgプロトコルと呼ばれる新しいビット指向プロトコルについて説明します。

この解説は、ARINCを紹介することを意図しています。より詳細を必要とする場合は、ARINCから仕様のコピーを入手する必要があります。

ARINCについて

Aeronautical Radio, Incorporated(ARINC)は、空、および旅行産業の効率、運営、およびパフォーマンスを保証するために、システム、およびサービスを開発、および運用する大手企業です。 1929年、政府外部で無線通信の単一ライセンスと調整者を提供するために、4社の主要航空会社により組織されました。航空会社と航空関連会社だけが株主となることができますが、 全ての航空会社と航空機は、ARINCのサービスを使用することができます。 現在、メリーランド州アナポリスに本社を置き、世界中に50ヶ所以上の営業所を置く2億8千万ドルの会社です。会社は、2つの目的を持ちます。

  • 航空、および旅行産業のための通信、および情報処理サービスの提供
  • 政府、および産業界のためのシステム・エンジニアリング、開発、およびインテグレーション

ARINCは、アビオニクス機器の仕様、および規格の開発において、リーダーシップを取っており、これら仕様の1つが、このチュートリアルの焦点です。 業界全体の委員会が、仕様と規格を準備します。ARINC 429仕様は、 航空会社、政府、およびARINCを代表するメンバーから成るAirlines Electronic Engineering Committee(AEE)により開発され、維持されています。 ワシントンD.C.のGeneral Aviation Manufacturers Association(GAMA)も、ARINC 429ラベルの仕様文書”ARINC 429 General Aviation Subset”を整備しています。

ARINC 429とは何か?

ARINC 429は、アビオニクス機器とシステムが互いに通信する方法を定義する仕様です。これらは、ツイスト・ペアの配線により相互接続されます。 仕様は、使用される電気特性、およびデータ特性、およびプロトコルを定義します。ARINC 429は、Mark 33デジタル情報伝送システム(DITS)として知られる非同期データ・バス規格を使用します。 メッセージは、12.5、または100 Kbit/sのビット・レートでバス・メッセージを監視している他のシステム要素に送信されます。 送受信は、独立のポート上で行われるため、多数のアビオニクス・システムを使用する飛行機上では、多くの配線が必要とされます。

ARINC 429の使用

ARINC 429は、エアバスA310/A320、A330/A340、ベル・ヘリコプター、ボーイング727、737、747、757、767、およびマクダネル・ダグラスMD-11を含むほとんどの商業輸送機に設置されています。 ボーイングは、777上でARINC 629として指定される新しいシステムを設置しており、ある航空機は、必要とされる配線の重量を減少させ、 ARINC 429よりも高速レートでデータを交換する試で、代替システムを使用しています。 非同期ARINC 429システムは、配線重量のコストと制限されたデータ・レートで高い信頼性を提供します。 軍用機は、一般に軍用仕様MIL-STD-1553で指定された高速、双方向のプロトコルを使用します。

各航空機は、相互接続を必要とする異なる電機機器、およびシステムを装備することができます。多くの機器は、飛行機への依存を伴います。 これらは、仕様で識別され、機器IDと呼ばれるデジタル識別番号が割り当てられています。ARINC 429-15仕様で識別される機器の一部リストを、そのデジタル・アドレスと共に、表1に示します。

表1 機器IDの一部リスト
機器ID 機器タイプ 機器ID 機器タイプ
001 飛行制御コンピュータ(701) 029 ADDCS(729)、およびEICAS
002 飛行管理コンピュータ(702) 02A 推力管理コンピュータ
003 推力制御コンピュータ(703) 02B パフォーマンス航法コンピュータ・システム(Boeing 737)
004 慣性参照システム(704) 02C デジタル燃料測定システム(A310)
005 姿勢・方向参照システム(705) 02D EPR表示機(Boeing 757)
006 エア・データ・システム(706) 02E 離陸CU/着陸C & LU
007 無線高度計(707) 02F 全権限EEC-A
008 機上気象レーダー(708) 030 機上分離保証システム
009 機上DME(709) 031 クロノメータ(731)
00A FAC (A310) 032 乗客エンターテイメント・テープ再生装置(732)
00B 全地球測位システム 033 推進マルチプレクサ(PMUX)(733)
00D AIDSデータ管理システム 034 故障分離・検知システム(734)
010 機上ILS受信機(710) 035 TCAS (735)
011 機上VOR受信機(711) 036 無線管理システム(736)
012 機上ADFシステム(712) 037 重量、およびバランス・システム(737)
016 機上VHF COM受信機(716) 038 ADIRS(738)
017 DEFDARS-AIDS(717) 039 MCDU(739)
018 ATCトランスポンダー(718) 03A 推進ディスクリート・インタフェース・ユニット
019 機上HF/SSBシステム(719) 03B オートパイロット・バッファ・ユニット
01A 電気管理制御 03C タイヤ圧監視システム
01B デジタル・フラップ/スラット・コンピュータ(A310) 03D 機上振動監視機(737/757/767)
01C エンジン・パラメータ・デジタイザ(エンジン) 03E 重心制御コンピュータ
01D A/P & F/Dモード制御パネル -757/767 03F 全権限EEC-B
01E 性能データ・コンピュータ(Boeing) 040 コックピット・プリンター
01F 燃料残量表示機 041 衛星データ・ユニット
020 DFSシステム(720) 046 CTU
023 地上接近警告シス (723) 047 デジタル飛行データ記録機
024 ACARS (724) ---- 追加アイテム
025 電子飛行計器(725) ----
026 飛行警戒コンピュータ(726) ----
027 マイクロ波着陸システム(727) 241 高電力増幅器

仕様は、ビット指向フォーマットでデータ・ファイルを相互交換できる数多くのシステムも識別します。 そのようなファイルは、数多くのメッセージの送信をシーケンスで要求します。ビット指向通信を行えるシステムとそのアドレスを、表10に示します。 SALは、ビット指向メッセージの受信者を識別するために使用されます。

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