航空・宇宙関連の電子機器で使用される特殊なデータバス、スタンダード（標準）について紹介します。

MIL-STD-461の各試験項目

試験項目は以下の頭文字の組み合わせで表現されます。

C = Conducted     伝導（物理的に有線でつながった）

R = Radiated        放射（有線でつながっていない中空に対しての放射）

E = Emission        妨害（EUTから出る）

S = Susceptibility   感受性（EUTに入りこむ）

• 伝導妨害の要求は 【CExxx】の試験項目　EUTから有線で出る不要な信号の量を測定
• 放射妨害の要求は 【RExxx】の試験項目　EUTから空中に放射される不要な信号の量を測定
• 伝導感受性の要求は【CSxxx】の試験項目　有線の電源線などからのEUTへのノイズに対しての感受性を測定
• 放射感受性の要求は【RSxxx】の試験項目　放射された電界や磁界からのEUTへの感受性を測定
• 【xxx】= アルファベット以下の101から199までの3桁の数字で詳細な試験の内容が規定されます。

MIL-STD-461の各試験項目の分類

以下の表は、MIL-STD-461の要求項目を一覧にしたものです。 青色の項目は、株式会社ナセル取扱製品（MilDef社）の中で、車両搭載用機器、航空機搭載用機器、モバイル機器などを目的とした製品に対して実施している試験項目を表します。（Ground Armyにて）

Conducted Emissions【伝導妨害】

項目	内容	目的
CE101	伝導妨害、オーディオ周波数、電源線 30Hz～10KHz	EUT からの電磁放射が、リターンを含む電源入力電源線の規定要件を超えていないことを確認
CE102	伝導妨害、無線周波ポテンシャル、電源線 10KHz～10MHz	EUT からの電磁放射が、リターンを含む電源入力電源線の規定要件を超えていないことを確認
CE106	伝導妨害、アンテナポート 10KHz～40GHz	EUTのアンテナ端子に現れる伝導性放射が規定の要件を超えていないことを確認

Conducted Susceptibility【伝導感受性】

項目	内容	目的
CS101	伝導感受性、電源線 30Hz～150KHz	入力電源線に結合された信号に耐えるEUTの能力を検証
CS103	伝導感受性、アンテナポート、相互変調 15KHz～10GHz	EUTアンテナ入力端子での望ましくない信号によって、引き起こされうる相互変調製品の存在を判定
CS104	伝導感受性、アンテナポート、不要信号の排除 30Hz～20GHz	EUTアンテナ入力端子の望ましくない信号によって引き起こされうるスプリアス反応の存在を判定
CS105	伝導感受性、アンテナポート、混変調 30Hz～20GHz	EUTアンテナ端子の望ましくない信号によって引き起こされうる混変調の存在を判定
CS109	伝導感受性、構造体電流 60Hz～100KHz	EUT がデバイスシャーシを流れる電流に耐える能力を検証
CS114	伝導感受性、バルクケーブル注入 10KHz～200MHz	EUTがEUT関連ケーブルに結合されたRF信号に耐える能力を検証
CS115	伝導感受性、バルクケーブル注入、インパルス励振	EUTがEUT関連ケーブルに結合されたインパルス信号に耐える能力を検証
CS116	伝導感受性、減衰振動波、ケーブル、電源線 10KHz～100MHz	EUT関連のケーブルと電源線に結合されたEUTが減衰した正弦波に耐える能力を検証
CS117	伝導感受性、雷誘導トランジェント、ケーブル、電源線	EUTの関連ケーブルおよび、電源線に結合された雷過渡現象に耐えるEUTの能力を検証
CS118	伝導感受性、人体の静電気放電	機器の電源をつけた構成において、EUT が人の静電気放電（ESD）に耐える能力を検証

Radiated Emission 【放射妨害】

項目	内容	目的
RE101	放射妨害、磁界 30Hz～100KHz	EUT および、関連する電気的インタフェースからの磁界放出が規定の要件を超えないことを検証
RE102	放射妨害、電界 10KHz～18GHz	EUT および、関連ケーブルからの電界放出が規定要件を超えていないことを検証
RE103	放射妨害、スプリアス、高調波放射 10KHz～40GHz	トランスミッタからの放射されたスプリアスおよび、高調波放射が規定の要件を超えていないことを確認

Radiated Susceptibility 【放射感受性】

項目	内容	目的
RS101	放射感受性、磁界 30Hz～100KHz	EUTが放射磁界に耐える能力を検証
RS103	放射感受性、電界 2MHz～18GHz	EUT および、関連ケーブルが電界に耐える能力を検証
RS105	放射感受性、トランジェント電磁界	EUT筐体が過渡電磁界に耐える能力を検証

MIL-STD-461の各試験項目の周波数

主な試験項目の周波数範囲を表示したものを下に示します。周波数範囲の上限下限は要求されるアプリケーションによって異なる場合があります。

MIL-STD-461・IP規格の和文概説書をIPROSにて配布しており、ダウンロードいただけます。