航空・宇宙関連の電子機器で使用される特殊なデータバス、スタンダード(標準)について紹介します。

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概要

VPXは、VMEbusアーキテクチャの後継規格であり、移行を簡単にできるように規格を提供しながら、パフォーマンスを大幅に向上させることが目的です。米国の防衛アプリケーションではその高速な性能により、VMEからの移行が進み、主流となってい ます。 日本でも検討、導入が進んでいます。

VPXの誕生


当初のVPX(ANSI/VITA 46)では、ボード間の相互運用性に対応していませんでした。そこで新たに相互運用性を持たせるために2010年にOpenVPX ANSI/VITA65が策定されました。しかしながら、Open VPXでも、まだユーザーの自由度が高く、相互運用性をさらに高かめるためにSOSA規格が策定されました。

ここではSOSA規格の基盤となっているOpen VPX規格について解説しつつ、米国ですでに主流となりつつあるSOSAについても紹介します。

SOSAについて

SOSA=>Sensor Open Systems Architecture

●新しい軍事電子システムのハードウェア、ソフトウェア・コンポネントを設計構築展開するための共通オープン・スタンダードを開発
●SOSAのメンバーは、米国防総省陸軍海空など政府機関に加え産業界や大学
●レーダー、EO/IR、SIGINT、EW、通信など現在および将来の組み込システムためビルディングブロックの多目的バックボーンを形成するために、既存オープン・スタンダードに最適なサブセットを採用している
●目的は、ベンダーの相互運用性、調達コストの削減、新技術のアップグレードの容易さ、新しい要求へ迅速な対応、ライフサクルの延長など
●SOSAハードウェア規格は、主にOpenVPXやその他関連するVITA規格を利用しているため、SOSAの目的を達成するために不可欠な新しい技術、トポロジー環境要件はこれらのVITA規格の拡張によってサポートされる

SOSA準拠品とそれ以外の製品の違い

Open VPXとプロファイル

OpenVPX 規格ではバックプレーン/スロット/シャーシ/モジュールの4つのプロファイルを定義して相互運用性を高めています。


VPX プロファイル説明


⚫ スロット[Slot]
✓ コネクタタイプと各ピンアサインの定義
✓ シングルピン ➢ 電源、グランド、ディスクリート信号、システム管理用
✓ 差動ピン ➢ 制御、データ、拡張 …グループ化され「パイプ」を形成

⚫ バックプレーン[Backplane]
✓ スロット内のパイプがどのように相互接続される かを定義
✓ 開発用シャーシでの使用を目的とする
✓ バックプレーン内での「ピン-ピン」接続、 RTM(リアトランジション)コネクタでどのピンが 使用できるかを定義

⚫ モジュール[Module]
✓ スロットプロファイルで定義された各パイプが使 用する通信プロトコルを定義 ✓ スロットプロファイルを指定
✓ コネクタタイプ、3U、6Uを指定

⚫ シャーシ[Chassis]
✓ プラグインモジュールのシステム統合とテスト
✓ 小型、中型、大型の3種類の開発シャーシを定義
✓ 3Uまたは、6Uの空冷/コンダクションクーリング
✓ リアトランジションの使用を前提


VPX プロファイル説明3


VPX プロファイル説明2

用語集

⚫レーン
Electrical Laneは、1つの送信差動ペアと1つの受信差動ペアで構成され、ポイントツーポイントで交差接続されています(送信は受信に接続し、受信は送信に接続します)。 Optical Laneは、送信ファイバーと受信ファイバーで構成され、ポイントツーポイントで交差接続されています。

⚫パイプ
共通の機能に使用される差動ペアまたは、光ファイバの物理的な集合体で、差動ペアの総数で特徴づけられるもの。パイプは、 その上で使用されるプロトコルによって特徴づけられるものではありません。以下のパイプはOpen VPXによって定義されています。

Single Pipe:ラジアル REF_CLKとラジアルAUX_CLK
Ultra-Thin Pipe(UTP):1000BASE-KXイーサネット、1xシリアルRapidIO、1xPCIeインターフェイス
Thin Pipe (TP):4本の差動ペアまたは、4本の光ファイバで構成されたパイプ。例:1000BASE-Tインターフェイス
Fat Pipe(FP):8本の差動ペアまたは、8本の光ファイバで構成されたパイプ。例:4本の差動ペアまたは8本の光ファイバ で構成されたパイプ。4xシリアルRapidIO、x4 PCIe、および、10GBASE-KX4インターフェース
MP:10本の差動ペアまたは、10本の光ファイバで構成されたパイプ
WP:12本の差動ペアまたは、12本の光ファイバで構成されたパイプ
Double Fat Pipe(DFP):16本の差動ペアまたは、光ファイバで構成されたパイプ。例:x8 PCIeインターフェース
Triple Fat Pipe(TFP):24本の差分ペアまたは、ファイバーで構成されたパイプ。例:x12 InfiniBandインターフェース
Quad Fat Pipe(QFP):32個の差分ペアまたは、ファイバーで構成されたパイプ。例:x16 PCIeインターフェース
Octal Fat Pipe(OFP):64個の差分ペアまたは、ファイバーで構成されたパイプ。例:x32 PCIeインターフェース

⚫ポート
プラグインモジュールのバックプレーンコネクタまたは、バックプレーン・スロットのコネクタのいずれかにある共通のI/O機 能のためのピンの物理的な集合体。

⚫プレーン
システムの要素間で情報を伝達するために使用される、システムの要素間の物理的・論理的な相互接続パス。

■Utility Plane(ユーティリティ・プレーン)
✓ システム内の電源、クロック、およびリセット接続を含む
✓ OpenVPXは、システム全体のリセット要件を明確にし、モジュールと開発シャーシの電力プロファイルを定義

Management Plane(マネージメント・プレーン)
✓ ヘルスモニタリング、インベントリ管理、イベントロギング、障害検出、障害分離などのプラットフォームレベルのタスク用のハードウェアおよびソフトウェアフレームワークを定義

■Control Plane(コントロール・プレーン)
✓ 制御トラフィックのシステムレベルの通信パスを定義
✓ OpenVPXは、コントロールプレーンに1000BASE-BX SERDESGbEプロトコルを使用することに重点を置いています。多くのシステムでは、GbEコントロールプレーンが長年のVMEbusの代わりになることもあります。

■Data Plane(データ・プレーン)
✓ システムピア間でデータを転送するためのスイッチファブリックに基づく高スループットメカニズムを提供
✓ 分散アーキテクチャを使用するか、スイッチを利用して、モジュールが通信をルーティングできる一元化された場所を提供することで実現可能

■Expansion Plane(エクスパンション・プレーン)
✓ システム内の2つの特定のエンティティ間でデータを共有することを目的とした、データを転送するための高スループットメカニズムを提供

⚫VITA48.8 エア・フロー・スルー(AFT)クーリング
✓ VPX規格で採用が進んでいる効率のよい冷却方式。コンダクションクーリング(伝導冷却)、伝統的な空冷より冷却効率が高く、高性能化した組み込み機器が発する熱を効率よく冷却できる。

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Open VPX規格解説
SOSA解説資料
VITA48.8 エア・フロー・スルー (AFT)クーリング解説 - 防衛向け組込みボードにおける冷却技術の最新動向

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